当院は鹿児島県唯一の医学的適応による未受精卵子の採取・凍結・保存に関する登録施設です。社会的適応による卵子凍結(健康な未婚女性の卵子凍結保存)についてもご相談を承っております。

卵子凍結について

女性の妊孕性の保存方法は卵子凍結と卵巣凍結保存が考えられますが、技術的に確立していることや、卵巣凍結保存の場合、がん患者では悪性細胞を再移植するリスクもあることから、実際には卵子凍結のほうがより幅広く臨床応用されています。

医学的適応による卵子凍結

白血病などのがんでは、造血幹細胞移植により多くの患者が治療可能となりましたが、同時に多量投与される抗がん剤や放射線治療の影響により、多くの女性が重篤な卵巣機能不全になり、不妊となる可能性があります。このため、妊孕性の保存として抗がん剤や放射線治療の前に卵子凍結を行うことで、将来の妊娠に備えることが可能となります。
2007年に日本A-PARTの臨床研究として、血液疾患患者(白血病や悪性リンパ腫)に対する卵子凍結を日本産婦人科学会より承認を得て開始しました。当院もこの臨床研究に参加して卵子凍結を行っております。2015年3月に臨床研究は終了となりましたが現在も引き続き県内の病院と連携して、卵子凍結を行っています。現在当院では医学的適応として23名の卵子凍結を行い、1名が卵子の融解を行い、1名が胚移植を行いました(平成28年2月時点)。
当院で卵子凍結を行い、自分の卵子の写真をお守りに治療を頑張っていると話された患者もいます。卵子の凍結保存が可能となり、白血病やその他のがん患者にとって将来自分の卵子により挙児を得る可能性ができたことは、命をかけた辛く困難な治療と闘いに向かう女性にとって希望と勇気を与えていることは事実です。

社会的適応による卵子凍結

2013年11月生殖医学会は健康な未婚女性が未来の妊娠に備えて卵子を凍結保存することを認めるガイドラインを正式に決定しました。当院においても健康な未婚女性が社会的適応として卵子凍結を行っており、将来妊娠を希望する人に選択の幅を広げ、卵子凍結を望む声に応えたいと考えています。

当院での妊孕性温存と卵子凍結への取り組み

当院では卵子凍結に関するアンケートを行い、学会で発表も行っています。未婚女性は卵子凍結や卵子の老化などに関し、他人事として受け止めている傾向にありますが、それに対して挙児希望のある不妊カップルは卵子凍結に関して前向きでした。卵子凍結は35歳までに行うのが理想であると考えられます。そのためには卵子の老化も含めて、学校教育の現場での正しい情報を知る機会も必要であると考えています。そのうえで、1つの選択肢としての卵子凍結があるという考えが望ましいと思われます。当院においても、院内セミナーでの説明や、県内の学校での講演を行い、がん治療の妊孕性についてや、卵子凍結に関する正しい知識を広めることに積極的に取り組んでいます。